滋賀県琵琶湖周辺のヨシ原をご紹介します。
琵琶湖には昭和28年頃230haものヨシ原がありました。現在は、開発などの原因で半減してしまいました。しかし、ヨシ原の重要性が見直されて、平成4年に「滋賀県琵琶湖のヨシ群落の保全に関する条例」が制定され、滋賀県が琵琶湖のヨシの刈取や植栽などの管理を行ってきました。また条例の趣旨を受けて、市民ボランティア・地元自治会のヨシ刈りやヨシ植栽などの活動が盛んです。さらに小学校などの地域でヨシを学ぶ学習も盛んです。
長浜市湖北町付近のヨシ原は琵琶湖の代表的なヨシ原の一つです。現在は3~4mの背の高さのヨシが多く、写真家の撮影スポットとしても有名で、特に竹生島やエリなどが入った冬の落日の景色はすばらしいです。
またコハクチョウ、オオヒシクイなどの冬鳥の越冬地としても有名です。
(写真:12月ごろの夕景。竹生島と小さな湖中の島、エリとヨシ原)
ここも琵琶湖の代表的なヨシ原の一つです。遠くに鈴鹿山地や竹生島が見え、景色のよいヨシ原です。この付近はかつて地元業者さんが刈取をしてヨシ屋根やヨシ簾に利用していていました。
地元の高島市は地域の財産としてヨシの保全を熱心にやっており、良く手入れされていて琵琶湖の中では良い品質のヨシが取れます。
また、ヨシ群落で生育する希少植物の宝庫でもあります。
(写真:ヨシ刈りして、火入れした直後の新旭町針江のヨシ原)
このヨシ原は背が高く太く、剛健なヨシができます。ヨシ笛など作るには最適です。
(写真:5月のヨシ原、ヨシキリの声がにぎやかです)
大津市は、平成2年度より市民参加によるヨシ原の保全を始めました。地元自治会やボランティアによるヨシ刈りが、毎年冬に大津市の琵琶湖岸全域で行われています。雄琴のヨシ原は琵琶湖の中でも大きく毎年多くのボランティアが参加しヨシ刈りが行われます。
(写真:市民ヨシ刈りのルーツ 大津市雄琴アクティバ前)
琵琶湖南湖の東岸は、琵琶湖の代表的なヨシ原の一つです。草津市琵琶湖博物館近くのヨシ原は豊かなヨシ原でしたが、開発やハスなどの繁殖により減少傾向です。しかしここのヨシ原は野鳥の宝庫です。最近まで「サンカノゴイ」というめずらしい鳥が生息していたということです。コハクチョウもこの付近に飛来します。琵琶湖の代表的なヨシ原がコハクチョウの飛来地と重なるのも偶然ではないようです。
かつて琵琶湖の東部に約1,500haの広さの「大中の湖」という大きな内湖が存在しました。多くの良質なヨシが存在し、琵琶湖周辺の最大の魚類の産卵場でもありました。
昭和30年代に水田を作るため干拓がなされ、大中の湖はほぼ水田になってしまいましたが、その名残ともいえる「西の湖」という湖が内部に残りました。
現在でも残された西の湖周辺には、日本でも屈指のきれいなヨシ原が約100ha存在しています。この付近の陸部にはヨシの栽培地が存在します。大変高品質のヨシができるところです。総じて硬くて美しいものが多く、丈は5m近くになるものから、丈は低くても細くて美しいものなど様々なヨシが生産されます。これが高級スダレや衝立、日本家屋の内装などに使用されるのです。この周辺にはヨシ業者が多く、ヨシ刈りやヨシ産業が盛んで「江州ヨシ」の本場です。また西の湖は「水郷めぐり」の観光地として毎年多くの観光客が訪れます。