2021.02.20
ヨシシンポジウムを開催しました
「人と自然の共生」を具体的に目指すべく、滋賀県が全国に先駆けて定めた「ヨシ群落保全条例」。
淡海環境保全財団はその制定の翌年 平成5年に設立され、ヨシ原の保全に深く関わってきました。
本年度までの3年間は特に、全国各地のヨシ原を訪ねて調査・取材を重ね、素晴らしい方たちとの出会いをいただき、今回その集大成として、シンポジウムを開催いたしました。
新型コロナの影響で、お客様にお集まりいただけるか心配しておりましたが、満員御礼!
ヨシを生業とされている方、保全活動に携われている方、ヨシの新たな魅力を引き出す商品づくりに携わられている方など、 会場の皆様が全て「講師」「登壇者」とも言うべきお顔触れの中、和やかな中にも熱気あふれる会となりました。
【基調講演】
作家・編集者 森 まゆみ 様
「自然と人が協力して作り上げた景観 ~ヨシ原と茅葺屋根を巡って~」
上野・不忍池をめぐる人との関わりの変遷や琵琶湖とのご縁、ヨシをはじめとする植物の日本・世界各地での利用の違いや工夫の様子、東日本大震災以降の東北でのヨシ産業復興の様子など、幅広くお話頂きました。
アンケートでは「もっとお話を聞きたかった!」との声を沢山いただきました。
【パネルディスカッション】座談会「自分の仕事」×「ヨシ」×「未来」=?
滋賀県立琵琶湖博物館 主任学芸員 芦谷 美奈子 様
有限会社高橋建具製作所 五十嵐 郁子 様
株式会社滋賀銀行 サステナブル戦略室 大西 佳央梨 様
株式会社たねや 社会部 部長 小玉 恵 様
業種も立場も異なる4名の女性にご自身のお仕事での「ヨシ」との関わりについてお話いただき、これからどんなことをしてみたいかについて「座談会」をしました。
「琵琶湖博物館でのヨシの展示では、質が良い分、値段が高いということをお伝えしても「ほしい」という声を聴くことが多い。
「いいな」と思った人がすぐに買える場所、機会を作れたらオススメもしやすいし、手に取ってもらいやすいと思う」
「滋賀県に来て思うのは、近くに琵琶湖があるのに、無頓着な人も多いということ。もっとヨシをはじめとする水草を手に取ってもらう、身近に感じてもらえる仕組みを作りたい」(芦谷様)
「ヨシの簾戸は、都心の新築マンションの方や若いご夫婦に人気がある。自然の少ない都会だからこそ、季節や風景を感じさせてくれる簾戸が愛されるのかもしれない」
「本当に良いヨシは、本当にうまく表現できないほど美しい。そんなヨシがどのようにして生まれ、どのようにして見つけられたのか。そういったヨシに関わる人たちの話を聞いていきたい」(五十嵐様)
「ラ・コリーナは「未来を語る場所」。お客様に発信したり、皆で一緒に考えながら「今はないもの」をヨシを素材に作っていきたい」「西の湖の清掃活動に参加しているとゴミの多さに驚かされる。地元の方のネットワークにいれていただくと「汚しているのも人、守っているのも人」と、えもいわれぬ「使命感」に駆られる。美しいことだけでなく、私たちがやってしまっていることも含めて伝えていく責任があると思う」(小玉様)
「ヨシのストーリーを伝えながら、新しい発想・視点も含めて「活用」の方法を考えていくのが大切だと思う」
「ヨシの製品は、品質は良いものの、大きなものは値段も上がってしまう。生活の中・身近にある、小さくかつ目に留まるものを「ヨシ」に置き換えていくことができたら、より広がりが生まれると思う」(大西様)
等など、話は尽きず・・・。
最後に基調講演者の森さまにもコメントをいただき、あっという間に閉会のお時間となりました。
会場からの質疑応答を控えさせていただく代わりに、アンケートでお気持ちをお聞かせいただけたらとお願いしたのですが、どの用紙も文字がびっしり。
シンポジウムの感想や、ご自身の活動への思い。
ヨシの新たな利用に向けた取り組みの様子や、活動の提案など、本当に沢山の思いを寄せていただきました。
今後の財団の業務に活かしていくことはもちろん、ぜひこのご縁から新しいネットワーク、取組を生み出していけたらと願っております!
ご来場いただいた皆様に心より御礼申しあげます。